第46回泉鏡花文学賞の授賞式が21日、金沢市の金沢市民芸術村で開かれ、「飛ぶ孔雀(くじゃく)」(文芸春秋)で受賞した山尾悠子さんに正賞の八稜鏡(はちりょうきょう)と副賞100万円が贈られた。山尾さんは「名前を挙げるだけでクラクラするような作家ばかりが受賞される賞。いつかは私もここに名を連ねる作家になれたらと、本当に憧れていた」と喜びを語った。 受賞作は「飛ぶ孔雀」と「不燃性について」の2部からなる連作長編小説で、火が燃えにくくなった世界を幻想的に描いている。選考委員の村松友視さんは選考委員6人の満場一致で今回の授賞が決まったと明かし、「鏡花を思わせる方法論というよりも、作者の自然体がそういうものを紡ぎ出している」と評した。 高校時代に読んだ鏡花に衝撃を受け、大学では卒業論文の主題に選んだという山尾さん。記念スピーチでは特に好きな作品という「山中哲学」の幕切れを朗読した。「泉鏡花のラストシーンって印象的なものがたくさんある。ラストさえ決まっていればそこに至るまでは多少わかりにくくても大丈夫みたいな、変な刷り込みを受けたかもしれません」と笑いを誘った。 泉鏡花文学賞は、地方自治体が主催する全国規模の文学賞の先駆けとして金沢市が1973年に制定した。これまでに渋沢龍彦さん、筒井康隆さん、京極夏彦さん、丸谷才一さん、瀬戸内寂聴さんらが選ばれている。(田中ゑれ奈)