カド番に立つ挑戦者の張栩(ちょうう)九段(38)が、2連勝でついに3勝3敗のタイにした。第43期囲碁名人戦七番勝負(主催・朝日新聞社、協賛・株式会社 明治、マニフレックス)の第6局は、井山裕太名人(29)が思い切った奇策を挑戦者に突きつけた。一手一手、剣を抜けば確実に相打ちになる緊迫の序盤戦。作戦の意図と背景を追った。 対局開始から間もない22日午前9時10分、挑戦者は2分の考慮で図1の左上に黒1と打った。白石に圧力をかけ、白が手を抜いてよそに打てば黒Aと連打し、隅をそっくり黒の陣地にする算段だ。それを避ける白Aからの手順は古くから定石化されているが、名人の手はそこに向かわなかった。 わずか1分で打たれたのは白2。よく見れば左上と右下の形は、黒白入れ替えると同じ構えだ。普通は次に黒Aと打たれて大損害だが、次に白Bと打って「黒にも同等のダメージを与えますよ」と主張している。 なぜこんなに際どい駆け引きを…