20日に亡くなったファッションデザイナーの芦田淳さん(享年88)は、上質で端正な服作りで知られた。現役デザイナー歴約60年は世界でも珍しい。晩年まで年に2回、東京コレクションで新作を発表し、ファッションショーのランウェー正面にはいつも大勢の各国大使や大使夫人が座った。 1930年、開業医を営む家に8人兄弟の末っ子として生まれた。幼いころから絵や生地など美しいものが好きで、高卒後に家族の猛反対を押し切って画家の故中原淳一さんに師事。53年にアパレル会社のデザイナーとして活動を始め、63年に独立した。 大阪万博やアトランタ五輪の日本選手団の制服を手がけ、全日空など企業の制服デザインも多かった。オーソドックスだが洗練されたセンスで、日本の正統派エレガンススタイルの基礎を作り、育てた。 66年から10年間は、当時皇太子妃だった皇后陛下の専任デザイナーを務めた。美智子さまから学んだことは、「ご自分の美しさよりも、訪問先の人たちの気持ちを優先する姿勢」と取材で明かした。エレガンスとは、自分を律することなのだと実感したという。 自身の服作りについても、「これみよがしなのが嫌い。大切なのは全体のバランスとリズム感。小さなミスで大きな美を壊さないように心がけてきた」と話していた。 大事にしたのは「愛を込めるこ…