9月下旬の日曜、JR八王子駅近くの催しもの会場に機織り機が置かれ、子どもたちが機織りを体験した。 私も挑戦した。縦糸が約300本、1本おきに上下に分かれている。そのすき間の左側から、横糸を巻き付けたシャトルを右側に通し、通した糸を器具で手前にトントンと軽くたたく。左右交互に繰り返すと、布のようになってきて、うれしくなった。 多摩織の伝統工芸士、沢井伸さん(68)が縦横12センチのコースターに仕上げてくれた。力加減で、しっかりした布になったり、柔らかい布になったり。糸の色や材質、織り方で無限の世界が広がる。沢井さんは年に20回ほど体験コーナーなどで指導する。年々要請が増えているという。大量生産の安い衣料が定着する一方で、少量でも手作りならではの付加価値があるものへの関心が高まっている、と解説する。 八王子―東神奈川間42キロを結ぶ横浜線は生糸や絹織物と深い関係がある。 「八王子市史」は、7~8世紀に大陸からの渡来人が多摩地方に養蚕や機織りを伝えたと推定。「八王子織物史」(正田健一郎)は、江戸時代以降、耕地が狭い八王子周辺の農民たちが絹織物を作ったと説明する。 幕末に横浜港が開かれ、生糸は…