第66回全日本吹奏楽コンクール(全日本吹奏楽連盟、朝日新聞社主催)は21日、名古屋市の名古屋国際会議場で高校の部が開かれた。全国11支部から30校が出場。金賞を獲得した9校だけでなく、出場校それぞれが大舞台で輝いた。 課題曲の演奏は、各校の特色を教えてくれるあいさつのようなものだ。常総学院は「古き森の戦記」(塩見康史)を、見事にそろったリズムと決然とした音色で奏で、高校の部の幕開けを飾った。 春日部共栄は難曲「エレウシスの祭儀」(咲間貴裕)で、不協和な中にも色彩感を醸し出した。続く自由曲「交響的狂詩曲」(福島弘和)でも弾むように拍を刻み、クライマックスでは色鮮やかな音の粒が目に見えるようで、ぞくりとした。 自由曲では現代曲が多く選ばれ、時代へのメッセージを含んだ作品もあった。 精華女子はテロへの鎮魂曲である「ブリュッセル・レクイエム」(アッペルモント)を選曲。冒頭の旋律から漂う甘美な追憶や、重苦しい悲しみを柔らかに表し、終幕の激しい怒りを引き立たせた。小松明峰は、作曲者フーサが故国の「チェコ事件」に寄せた「プラハのための音楽1968」で、沈黙に耳を傾けながら丁寧に演奏し切った。 高校30校はすべて55人の大編成でエントリーし、迫力では申し分がない。そのうえで、強さや重量感を良しとする「剛」と、軽みをうまく使う「柔」の、二つの傾向があると感じた。 「剛」の好例、岡山学芸館は「ワイルド・グース」(ジョージ)で、吹奏楽ならではの大音量の輝かしさを存分に発揮。市立柏は無比の正確さで、時に爆撃のように響く「ジュウ・シメリック」(天野正道)を突き進み、鋭く切り裂くようなソロが生きた。東海大札幌は余力のある豊かな響きで、「陽が昇るとき」(高昌帥)を壮麗に聴かせた。 「柔」の例として挙げたいのは遠軽。高昌帥の「協奏曲」では素朴な旋律に全体が聴き入り、時間が止まるような瞬間があった。光ケ丘女子はJ・S・バッハ「パッサカリアとフーガ」で、息の流れに悲しみの感情をうまく乗せていた。 八王子の「マインドスケープ」(高昌帥)は休符が効果的に使われ、他にない余白の美を感じた。福工大城東の「プラネット・ナイン」(樽屋雅徳)も弱音が心にしみた。 高校生離れした語り口と感じたのは玉名女子の「パラフレーズ・パァ『スタティック・エ・エクスタティック』アヴェック・アン・プロローグ・エ・レピローグ」(天野正道)。旋律が雄弁に歌われ、曲が描く物語を読み解くかのようで、引き込まれた。(安部美香子)