青森県つがる市の国道101号で車4台が絡んで4人が死亡した多重事故をめぐっては、事故で亡くなった夫婦の軽乗用車が飲酒運転をしていたかのような情報が、インターネット上で出回り、関係者は心を痛めていた。後方から来た乗用車が飲酒の上「暴走」してきたことが事故原因との見方が強まり、ネット上の書き込みに傷つき続けてきた遺族や友人たちは憤りを募らせている。 「広船が飲酒運転なんかするわけがない」。事故で死亡した広船淳さん(43)と愛莉さん(30)夫婦を知る男性(42)は話す。 淳さんと愛莉さんは、県内のパチンコ店の元同僚。男性は2人の元上司にあたる。 男性によれば、淳さんは事故当日の9月22日午前0時ごろまで、店で遅番の勤務についていた。事故が起こったのは、その約1時間後。男性は「妻を迎えに自宅まで戻り、酒を飲んでからまた出かけて事故を起こすとは思えない」と指摘する。 ネット上では、「酒気帯び夫婦」など、淳さんと愛莉さんを中傷する書き込みが相次いだ。その一因とみられるのが、地元民放の9月下旬の一部報道。「最初に衝突したとみられる2台の軽乗用車のどちらかの運転手が、酒気帯びだった可能性がある」と報じたものだ。 事故当時、4台は2台ずつ対向して走っていたが、それぞれの先頭を走っていたのが、淳さんが運転する軽乗用車と、山田春治さん(63)=死亡=が運転する軽乗用車だった。山田春治さんは代行運転の業務中で、飲酒していたとは考えにくいことから、飲酒運転していたのは淳さんだったとの臆測を呼んだとみられる。 だが、捜査関係者によると、淳さん、山田春治さんともに血液などからアルコールは検出されず、いずれも飲酒運転の事実はないことが判明した。県警は、広船さん夫婦の後方を走っていた乗用車が飲酒運転の上、制限速度を大幅に上回る時速約130キロで広船さんの車に追突し、さらに中央線をはみ出して山田春治さん運転の軽乗用車に衝突したとみている。 遺族の1人は「警察には、誤解を生む報道なので訂正してほしいと伝えた。みんな、あの報道はあり得ないと怒っている」と話している。(板倉大地、仲川明里、中野浩至)